人の皮膚は弱酸性(pH4.5〜5.5)と言われていますが、犬はどのくらいかご存知でしょうか。
過去の報告では犬の皮膚のpHは7.75前後(参考:ビーグル9〜11ヶ月齢)と言われており、人よりpHは高くいわゆる弱アルカリ性と考えられています。
人では、シャンプーを使用する時に「弱酸性を選びましょう」とよくコマーシャルでうたわれていますが、犬ではどうでしょうか。
犬の皮膚は弱アルカリ性だから、弱アルカリ性を選べば良いのか?…答えはまだ分かっていません。
皮膚のpHを決めるのは、皮膚から分泌されている汗と皮脂と考えられており、弱アルカリ性のシャンプーを使用したとしても、一時的なpHの傾きはあっても汗と皮脂の働きにより、正常な皮膚では自分で皮膚のpHを正常化することができます。
つまりシャンプーのpHが強アルカリ性であっても、皮膚自体の働きで皮膚のpHは元に戻ることができるということです。
では、シャンプー自体のpHは気にしなくても良いのかというと答えはNoです。
シャンプー剤についてはアルカリ性になればなるほど、あるいは酸性になればなるほど、洗浄力は上がるものの皮膚や被毛へのダメージは強くなり、そのダメージは乾燥につながります。
したがって皮膚や被毛の負担を考えると、シャンプー剤の選択は強アルカリ性(pH11以上)や強酸性(pH3以下)は避けるべきだと考えられます。
しかし犬の皮膚におけるpHに関するデータは非常に少なく、まだまだ犬の皮膚については不明な点が多いので、今後、犬の皮膚の基礎研究がもっと進み、皮膚とpHの関係の詳細がもっと明確になってくると、シャンプー剤選びの選択基準がもっと増えていってくれることでしょう。