TEGSUMI MAGAZINE Vol.002 ~犬の皮膚のpH値/獣医師監修記事~

TEGSUMI MAGAZINE Vol.002 ~犬の皮膚のpH値/獣医師監修記事~

人の皮膚は弱酸性(pH4.55.5)と言われていますが、犬はどのくらいかご存知でしょうか。

過去の報告では犬の皮膚のpH7.75前後(参考:ビーグル911ヶ月齢)と言われており、人よりpHは高くいわゆる弱アルカリ性と考えられています。

人では、シャンプーを使用する時に「弱酸性を選びましょう」とよくコマーシャルでうたわれていますが、犬ではどうでしょうか。

犬の皮膚は弱アルカリ性だから、弱アルカリ性を選べば良いのか?…答えはまだ分かっていません。 

皮膚のpHを決めるのは、皮膚から分泌されている汗と皮脂と考えられており、弱アルカリ性のシャンプーを使用したとしても、一時的なpHの傾きはあっても汗と皮脂の働きにより、正常な皮膚では自分で皮膚のpHを正常化することができます。

つまりシャンプーのpHが強アルカリ性であっても、皮膚自体の働きで皮膚のpHは元に戻ることができるということです。

では、シャンプー自体のpHは気にしなくても良いのかというと答えはNoです。 

シャンプー剤についてはアルカリ性になればなるほど、あるいは酸性になればなるほど、洗浄力は上がるものの皮膚や被毛へのダメージは強くなり、そのダメージは乾燥につながります。

したがって皮膚や被毛の負担を考えると、シャンプー剤の選択は強アルカリ性(pH11以上)や強酸性(pH3以下)は避けるべきだと考えられます。 

しかし犬の皮膚におけるpHに関するデータは非常に少なく、まだまだ犬の皮膚については不明な点が多いので、今後、犬の皮膚の基礎研究がもっと進み、皮膚とpHの関係の詳細がもっと明確になってくると、シャンプー剤選びの選択基準がもっと増えていってくれることでしょう。
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